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ハーバード大の研究グループ、行き場のない羊毛で断熱外壁タイル オスロ建築トリエンナーレで展示

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米ハーバード大学のグリナム研究グループが、捨てられる羊毛からつくった外壁用のタイルを開発した。タイルは断熱材を兼ねる。2026年9月17日から10月1日までオスロのソフィエンベルグ教会で開かれているオスロ建築トリエンナーレの主展示で、「アップサイクリング・ウール・エコロジーズ」と題し、木の骨組みに張って見せている。

何が起きたのか

タイルは2層でできている。裏側の密度の低い層が断熱板の役目を果たし、表側の密度の高い層が耐久性と耐候性を受け持つ。建物の外側に張れるので、断熱を高めるために壁を壊して中を掘り返す、費用のかかる工事を避けられるという。

つくり方はこうだ。羊毛をアルカリ性の溶液で処理して、主成分のたんぱく質ケラチンを一部分解し、機械的な工程で液状にする。そこにクエン酸を加えて熱すると、羊毛由来のケラチンが残りの繊維を結びつけ、石油由来の樹脂なしで硬い複合材になる。展示用には、米コネチカット州のアメリカン・ウーレン社から、製品になる前の段階で出た廃棄羊毛を仕入れた。天然の色の繊維と染めた繊維を混ぜたため、タイルの色はまちまちである。表面には縦の溝を付けたが、ほかの形にも押し固められる。

背景

グループによると、世界では原毛が年に約19億5000万キログラム生産され、その約60%が衣料に使われる。使われない羊毛は、たいてい積み置かれるか、燃やされるか、埋められる。創設者のジョナサン・グリナム氏は、国内の繊維産業の衰退や合成繊維との競争、品質による選別で、市場のない羊毛が大量に残っていると話す。「羊毛は経済的な価値を失ったが、素材としての性質は失っていない」という。

グループは、羊毛の断熱性、燃えにくさ、抗菌性に目を付けた。グリナム氏によれば、外壁材にすることで、草から羊、羊毛へと取り込まれた炭素を建物の中にとどめながら、既存の建物の性能を上げ、長く使えるようにできる。

日本にとっての意味

羊毛が価値を失う流れは、日本がひと足早く経験している。農林水産省によると、国内のめん羊は国産羊毛の需要を背景に1957年に94万頭に達したが、1961年の羊毛輸入の自由化で輸入が増え、1976年には約1万頭まで減った。その後は肉を取る目的に変わり、2023年の飼養頭数は2万4631頭である。

一方で、外から張れる断熱材の出番は日本の住宅に多い。国土交通省の2021年の資料によると、約5000万戸の住宅ストックのうち、2018年度時点で省エネ基準を満たすのは約11%にとどまり、約30%は断熱がないか、1980年の基準にも届かない。壁を壊さずに外から断熱を足すというグリナム氏らの発想は、こうした既存の住宅にこそ当てはまる。