デザイン・雑貨・イベント

ふたを折りたたむ紙コップ、庭で堆肥に 紙ストローの米企業がプラスチックのふたをなくす

米国 の記事一覧 ・ 南北アメリカ

米フロリダ州の企業Nothing(ナッシング)が、ふたと一体になった持ち帰り用の紙コップをつくった。温かい飲み物用と冷たい飲み物用があり、どちらも堆肥にできるよう設計した。この2年で2種類を仕上げ、米国とカナダの数千の店と取引を進めているという。

何が起きたのか

コップの側面は上に長く伸びていて、それを内側に折りたたむとふたになる。温かい飲み物用は3枚の折り返しを組み合わせて留め、飲み口を残す。冷たい飲み物用は4枚を合わせ、ストローを挿す差し込み口を付けた。胴はわずかに三角形で、手になじむ形にした。共同創業者のブランドン・リーズ氏は、従来のコップとふたよりこぼれにくいと話す。

紙の表面には、紙の繊維をつくるときに結びつく水性のコーティングを施した。水性分散と呼ばれるこの方法は、プラスチックの成分を含むことが多い。リーズ氏によれば、同社のものは含まず、欧州の認証機関フルスティックスからプラスチック不使用の認証を受けた。コップは180日で分解するよう設計され、TÜVの「OKコンポスト・ホーム」の認証も得た。高い熱をかけない家庭の庭先でも分解することを確かめる認証である。リサイクルにも回せるという。

ふたが別になっていないので、材料費に加えて包装と輸送の費用も減る。かさばるふたの束を店に置いておく必要もなくなる。

背景

ブランドン氏はプログラマー、ジョーダン・リーズ氏は製品デザイナーで、2人は最初に紙ストローをつくっていた。だが、紙ストローをプラスチックのコップに挿して出す店を見て、見せかけの環境配慮だと幻滅した。そこで、ふたが一体になったコップを思いついたという。植物由来のプラスチックの一部が、思われていたほど速く分解しないことを研究者が示したことも背景にある。

ブランドン氏は、紙コップは1907年に発明されてから何も変わってこなかったと言い、変化を嫌う人もいるだろうと見る。飲み物の容器の素材は政治の問題にもなった。トランプ大統領は2025年2月、連邦政府が紙ストローを調達するのをやめる大統領令に署名し、紙ストローに反対する姿勢を示した。

日本にとっての意味

日本の法律は、ストローとコップのふたを同じようには扱っていない。2022年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法は、店が無料で配るプラスチック製のフォークやスプーン、マドラー、飲料用ストローなど12品目を「特定プラスチック使用製品」に指定した。法律と施行令によると、前の年度に5トン以上を配った事業者の取り組みが著しく不十分なら、国は勧告や命令を出せる。

ところが法律は、容器包装リサイクル法が定める「容器包装」を最初から対象の外に置いている。中身の商品が消費されると不要になる容器や包装のことである。12品目にコップやふたは含まれていない。ストローは減らす対象でも、ふたは減らす義務の外にある。紙ストローをプラスチックのコップに挿すという、Nothingの創業者が幻滅した組み合わせは、日本の制度の上でもそのまま成り立つ。