気候・災害

温暖化でエルニーニョは強まるのか サンゴの記録が示す変化

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太平洋で観測史上最大級になる可能性があるエルニーニョが発達している。サンゴや樹木の年輪に残る記録を調べた研究が、温暖化が進むにつれてエルニーニョの振幅自体が強まっている可能性を示している。ただ、この傾向が今後も続くかどうかは専門家の間でも見解が分かれる。

何が起きたのか

ガラパゴス諸島のサンゴを使った最新の研究は、サンゴの骨格に残る化学成分の変化を手掛かりに、過去およそ1000年分の海面水温の変動を遡って推定した。その結果、過去40年ほどでエルニーニョの変動幅が36.5%大きくなっていたという。データは気温上昇のグラフと同じように右肩上がりで、温暖化の進行と重なっていた。

ただしサンプルは2014年までのデータで、2015〜2016年の非常に強いエルニーニョや、2023〜2024年の中規模の事例は含まれていない。研究を率いた米ミシガン大学のジュリア・コール教授は「この傾向がいつまで続き、どこまで悪化するかは分からない」と話す。米コロンビア大学のマーク・ケイン氏らが樹木の年輪を調べた2024年の分析でも近年のエルニーニョが強まっているとする結果が出ており、ケイン氏は「温暖化がより強力なエルニーニョをもたらしているという証拠が積み重なっている」と語る。

2026年の今回の事例は10〜12月にかけて最盛期を迎える見通しで、1950年以降の観測史上で最大級になる可能性が指摘されている。査読前の論文(プレプリント)は、この規模の事例が温暖化のために6倍起きやすくなったと推定している。

背景

エルニーニョは、太平洋赤道域の海面水温が平年より高くなる自然現象で、数年おきに発生し、世界各地の気候に影響を及ぼすことで知られる。人工衛星や観測ブイによる監視が整ったのは1980年代以降で、それより前の記録は薄い。そこで研究者は、サンゴの骨格や樹木の年輪に残された痕跡を手掛かりに、過去のエルニーニョを推定する手法を使っている。

過去に強いエルニーニョが起きた時期には、火山噴火や太陽活動の変化といった外からの要因が関わっていたとみられ、近年の変化がどこまで温暖化によるものかは、まだ断定できていない。それでも気温上昇とエルニーニョの強まりが同じ時期に重なっていることは確かめられている。将来の見通しについては気候モデルによる予測に頼るしかないが、モデルによって結果が分かれているのが現状という。

日本にとっての意味

日本の気象庁も、過去の実績からエルニーニョ発生時の傾向を示した対応表を持つ。1948〜2021年の統計では、エルニーニョが起きた夏は西日本で気温が平年より低い傾向とされるが、これは気温の上昇傾向を取り除いた上での相対的な傾向で、絶対的な冷夏を意味しない。

実際、気象庁は2026年6月にエルニーニョ現象が発生しているとみられると発表しながらも、2026年夏の日本付近は高温になる可能性が高いとする予報を維持した。結果として2026年夏の日本の平均気温は平年より1.02℃高く、1898年の統計開始以降で5番目の高さとなった。エルニーニョが起きたからといって涼しくなるとは言えず、むしろ上がり続ける気温の土台の上に乗る分、同じ現象でも結果が過去の実績と食い違っていくとみられる。