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ポーランド外相、ロシアにNATO大規模攻撃の余力なしも小規模挑発を警告

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ポーランドのシコルスキ外相は、ロシア軍の戦力がウクライナでの戦闘に釘付けになっており、NATO(北大西洋条約機構)への大規模攻撃を仕掛ける余力はないとの見方を示した。一方で、NATOの集団防衛条項の発動をめぐって加盟国の意見が割れかねない、小規模で曖昧な挑発を仕掛けてくる可能性には警戒を呼びかけた。

何が起きたのか

現地時間9月28日(月)に報じられたインタビューで、シコルスキ氏は公共放送TVP Infoに対しこの見方を語った。これは9月24日(米東部時間)の自身の警告を補足する発言だった。同氏はその際、ワルシャワが複数の情報源から、今年中にロシアが何か大きなことを準備しているとの情報を得ているとしていた。

どのような事態が想定されるかを問われると、同氏は、それを知っているのはプーチン氏だけだとしつつ、備えを固め、操られることなく警戒を保ち、同盟としてどんな挑発にも即座に反応できるようにしなければならないと述べた。その上で「ロシアにはNATOへの大規模攻撃を行う兵力はない」と語り、全戦力がウクライナに釘付けになっているとの認識を示した。

シコルスキ氏はさらに、欧州側とアメリカ側の間でNATO条約第5条の適用をめぐって意見が割れるような事態はロシアにとって好都合だと指摘した。ロシアがすでに行っている行為を、より攻撃的な形で継続する可能性もあるとの見方を示した。

背景

NATOは、加盟国が武力攻撃を受けた場合に他の全加盟国が共同で対処する集団防衛を柱とする軍事同盟であり、この原則は条約第5条に定められている。ただし第5条では、どの程度の攻撃であれば発動対象となるかの判断が加盟国間の協議に委ねられている。

西側政府はロシアが近年、妨害工作や領空侵犯などを組み合わせた「ハイブリッド戦(hybrid warfare、軍事と非軍事の手段を組み合わせて相手を揺さぶる戦い方)」をNATO・EU諸国に対して展開していると非難してきた。こうした手法は、攻撃と平時の境目をあいまいにすることで、同盟側の対応を遅らせたり加盟国間の足並みを乱したりする狙いがあるとみられる。シコルスキ氏の発言は、この延長線上にある小規模な挑発への警戒を促すものといえる。

日本にとっての意味

同盟の意思決定の速さという論点は、日本の制度にも同じ形で存在する。海上警備行動は自衛隊法第82条に基づき防衛大臣が発令するが、そのためには内閣総理大臣の承認と閣議が必要となる。日本政府は2015年5月14日、無害通航に該当しない外国軍艦への対処など緊急性の高い3類型について、全閣僚が参集する臨時閣議の開催が困難な場合は、首相主宰のもと電話などで各閣僚の了解を得て閣議決定できると定めた。国家安全保障会議の審議も電話などで行えるとしている。

つまり日本政府自身が、有事と言い切れない事態への対応では決定の速さが問われるとみて、手当てしてきたことになる。日本政府によると、2024年9月23日にはロシア軍のIL-38哨戒機が北海道・礼文島北方の領海上空を1日に3度侵犯した。これは対領空侵犯措置で対応する別枠の仕組みだが、こうした事態は現実に起きている。シコルスキ氏が指摘する、同盟の意思決定の分断を狙う挑発への備えは、日本にとっても制度の速度という同じ論点に行き着く。