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北アイルランドで論争の行進、カトリック系地区通過を裁判所が容認

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英国北アイルランドのポータダウンで、プロテスタント系の友愛団体オレンジ結社(Orange Order)が現地時間9月27日、カトリック系住民が多いガーヴァギー・ロードを約30年ぶりに行進する予定になった。行進の可否をめぐり法廷での争いが直前まで続き、当日は数百人の対抗デモが道路を塞いだ。バーナム英首相は全ての立場に冷静な対応を呼びかけた。

何が起きたのか

論争のある行進を規制する独立機関、パレード委員会(Parades Commission)は現地時間25日、この行進の実施自体は認めたうえで、参加者を35人に限り、楽隊の参加を禁じる条件を付けた。この判断を不服とする法廷での争いが24時間近く続いた。高等法院は現地時間26日、行進をいったん差し止めたが、控訴院は同日深夜、高等法院の判断には法解釈の誤りがあるとして差し止めを取り消し、委員会が当初示した判断を尊重すべきだと結論づけた。

現地時間27日には、北アイルランド首相のミシェル・オニール氏を含む数百人の対抗デモ参加者が、行進に先立ってガーヴァギー・ロードを封鎖したとアイルランドのメディアが伝えた。バーナム首相はBBCの取材に「緊張した状況なのは承知している。あらゆる立場の人に冷静な対応を呼びかけたい」と述べ、北アイルランドではこれまで大きな前進があり、それを後戻りさせたくないと語った。

背景

北アイルランドは歴史的に二つの政治的立場に分かれてきた。英国残留を支持するユニオニストは主にプロテスタント系住民、アイルランドとの統一を求めるナショナリストは主にカトリック系住民と結び付けられてきた。オレンジ結社は17世紀のプロテスタント側の勝利を記念する行進を毎年行っており、ガーヴァギー・ロードは同結社が伝統的な行進ルートの一部と位置づけてきた道路だ。

この道路をめぐる対立は1990年代にさかのぼる。オレンジ結社が行進を強行しようとしたことが、北アイルランド紛争(The Troubles)のさなかに緊張を大きく高める一因となり、最終的にパレード委員会の設立につながったとされる。今回、約30年ぶりにこの道路を通る行進が実現する運びとなったことは、こうした経緯があるために双方にとって重い意味を持つ。

日本にとっての意味

英国では、行進の可否そのものを独立機関パレード委員会が一手に判断し、条件付き許可という形で処理した。その判断は司法でも争われた。日本では判断の主体がいくつかに分かれる。道路使用の可否を握る道路交通法77条2項は、交通の妨害となるおそれがないことなどを許可の基準に据え、同3項は付けられる条件も交通の安全と円滑に限っている。少数派の集住地区への影響という論点は、この枠組みでは正面から扱われない。

実際に2016年6月、川崎市川崎区で在日コリアンの集住地区である桜本地区へ向かうデモが計画された際は、川崎市が公園の使用を認めず、横浜地裁川崎支部が桜本地区半径500メートル以内でのデモを人格権侵害として禁じる仮処分を出した。いずれも道路交通法とは別の経路で、地区への影響が判断された。主催団体が場所を変えて行進を試みた際は、路上に集まった市民がこれを食い止めた。英国の一つの機関が担う判断が、日本では警察、自治体、民事裁判所、路上という複数の場に分散している。