アート・カルチャー

ツタンカーメン王墓の壁の外に「異常」、王妃ネフェルティティの謎につながるか

エジプト の記事一覧 ・ アフリカ

エジプトのツタンカーメン王の墓の外側で、地球物理学的な探査によって新たな手がかりが見つかった。米スミソニアン誌が報じた。手がかりは、この若い王が既存の埋葬施設の外側の部屋に葬られたとする仮説を補強するものだという。研究者たちは、自ら調べるための許可を得ようとしている段階にある。

何が起きたのか

今回報じられたのは、地球物理学的な探査でツタンカーメン王の墓の外側に「異常」が見つかり、それが新たな証拠として示されたという内容である。この証拠は、王が最初から自分のために造られた墓ではなく、既存の埋葬施設の外側の部屋に葬られたとする仮説を支持するものとされる。

見出しでは、この手がかりが、いまだ見つかっていない王妃ネフェルティティの遺骨へ通じる秘密の通路を示すものではないかと問いかけている。ただしこれは可能性の提示にとどまり、通路や遺骨の存在そのものが確認されたわけではない。研究者は、探査で得られた手がかりを自ら確かめるための許可を得ようとしている段階にある。

背景

ツタンカーメン王の墓は、古代エジプトの王家の谷にある。1922年に発見された際、副葬品の豊富さで世界の注目を集めたが、墓室そのものは王の墓としては小さく、急ごしらえの印象を持たれてきたとされる。この小ささが、もともと別の人物のために用意された空間を転用したのではないかという見方につながっているとみられる。

一方、ツタンカーメンの継母とされる王妃ネフェルティティの埋葬地は、これまで確認されていない。2010年代半ばには、ツタンカーメン王墓の壁の奥に未発見の部屋があるとする仮説が研究者の間で提起され、レーダーなどを使った調査が試みられたが、結果の解釈をめぐって研究者の意見は割れたとされる。今回報じられた新たな探査結果も、この論争が続いていることの延長線上にあるとみられる。

壁画の描かれた墓室の壁を壊すことはできないため、こうした調査は壁の外側から物理的な性質を測る非破壊の手法に頼ってきた。この種の手法は空洞の存在を推定する材料にはなっても、それだけで内部の実態を確定することはできない。最終的に内部を確かめられるかどうかは、遺跡を所管する当局が調査を認めるかどうかにかかっているとみられる。

日本にとっての意味

壁の外側からの探査が空洞の手がかりを示しても、確かめる許可は遺跡を管理する当局が握るという構図は、日本の陵墓でも見られる。

実際、大山古墳(仁徳天皇陵として管理)では2018年10月、宮内庁と堺市による初めての共同発掘が行われたが、掘ったのは墳丘そのものではなく、外周の堤にとどまった。壁や墳丘の内部を直接確かめられるかどうかが管理者の許可次第という点で、今回のエジプトの状況と共通する構図がある。