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パキスタン首相、国連で「インダス川の水止めれば戦争行為」

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パキスタンのシャリフ首相は現地時間9月25日、ニューヨークの国連総会一般討論演説で、インドがパキスタンの取り分であるインダス川の水を止め、妨げ、あるいは転流させようとする試みを「戦争行為とみなす」と述べた。両国の間で長年、水利用を定めてきたインダス水利条約(Indus Waters Treaty)を、インドが一方的に「履行停止」の状態にしていることを、シャリフ氏は問題視している。

何が起きたのか

シャリフ首相は演説で、インダス川水系の共有水資源をパキスタン国民だけでなく地域全体の「命綱」と表現し、インドによる条約履行停止には「法的根拠が一切ない」と主張した。国連の専門家や仲裁裁判所(Court of Arbitration)もインド側の主張を退けたとしている。

「水を武器化してはならない」とシャリフ氏は述べ、河川は国々を分断するのではなく養うべきものだと訴えた。

演説では2025年5月にインドとの間で生じた軍事衝突にも触れ、国連憲章第51条に基づく自衛権を行使したと説明した。トランプ米大統領の仲介によって「核保有国同士」の全面戦争が回避されたとし、南アジアが再びその瀬戸際に立たないためには、カシミールを巡る紛争の公正な解決が必要だと訴えた。

背景

インダス水利条約は1960年、世界銀行の仲介でインドとパキスタンが結んだ取り決めで、インダス川本流とその支流の水利用をインド側とパキスタン側で分け合う仕組みとされる。印パ間で複数回の戦争や軍事衝突が起きた後も、この条約は機能してきた数少ない二国間の枠組みとして維持されてきたとみられている。

今回問題になっているのは、インドがこの条約の履行を「停止」した状態にしていることだ。この措置は、水資源そのものとは関係のない両国間の外交・安全保障上の対立を背景にしたものとみられ、パキスタン側は法的な正当性がないと訴えている。条約を停止する側が上流にあたるインド、水の供給を必要とする側がパキスタンという地理的な力関係も、この対立を深刻にしている一因とみられる。

日本にとっての意味

日本も、主権問題を棚上げして資源利用を可能にする二国間の取り決めが、別の外交対立を理由に一方的に止められる構図を経験している。

北方四島周辺水域の安全操業協定は1998年、北方領土の主権問題を「いずれの政府の立場および見解をも害するものとみなしてはならない」と明記して調印されたが、ロシア側はウクライナ侵攻後の日本の対ロ政策を理由に2023年1月、政府間協議の実施時期を調整できないと通知した。外務省は2025年12月の国会答弁でも、ロシア側が協議に応じない状態が続いていると説明し、水産庁は2026年4月の答弁で、操業できない漁業者への漁場転換の経費支援を継続していると述べている。

資源へのアクセスを握る側が、棚上げの約束ごと交渉材料に変える構図は、印パ間の水を巡る対立と同じ形をしている。